福島県立医科大学看護学部、自治医科大学看護短期大学助産専攻科を卒業後、助産師として大学病院等で勤務。2011年 自治医科大学大学院看護学研究科修了。2012年から現職。2015年に母性看護専門看護師(以下、母性看護CNS)認定取得し、現在は、教育・研究の傍ら、不定期に、周産期メンタルヘルスにかかわる看護を実践している。
私が「女性の健康」に興味をもったのは、共働きしながら家事や育児を行っていた私の母が「大変そう」に見えたからでした。女性(母親)が健康で幸せ(笑顔)でいることは、パートナーや子どもの幸せにもつながるのではないかと思い、女性の健康を支え、家族のスタートを支えることを仕事にしたい!と思い助産師を目指しました。
臨床で助産師として働き始めると、持病があったり、早産や死産など、大変な思いをされる妊産婦さんにたくさん出会いました。その中で、自分が助産師としてどうかかわればいいのかわからず、これでいいのか、母親や父親は退院後大丈夫だっただろうか、と不安になることがたくさんありました。そこでリスクを抱える妊産婦さんへのケア、特に心理的なケアについて学び直したいと思い、大学院(母性看護CNSコース)に進学しました。
大学院の時に行った、母親に精神疾患がありながら妊娠、出産、育児を行う一組のご夫婦を対象にした研究1)では、母親が自分の健康を保つためのモチベーションは、家族の存在であり、家族の関係性が母親の健康にとって大切であり、また父親の健康にとっても母親の健康や家族の存在がとても大切であることがわかりました。現在は、大学院時代の研究や実習等で学ぶことができた、母親だけでなく、夫婦の関係性や家族全体に目を向け、支援していくこと、また、妊娠・出産・育児は生活の営みの中で行われるため、母親と家族を生活者としてとらえることを大切に看護実践し、教育にも活かしています。
母性看護CNSの実践を通じて、病院と地域、病院内の連携がとれていることは、母親にとって大きな安心につながることを実感しています。そのため、日頃の講義や実習などにおいても、看護学生・助産学生が、病院にいる時の母親の姿・生活だけでなく、病院に来るまで/家に帰ってからの母親・家族の生活についてイメージし、母親の価値観や大切にしていることを尊重して、その人にあったケアを考え実践していけるよう、一緒に考え、学生一人一人の強みに応じて、さまざまなかかわりを行っています。それは、CNS大学院コースの学生に関わるときにも一緒です。自分の経験を挙げながら、大学院生個々の強みを発揮できるように、ディスカッションを通じて一緒に考えるようにしています。
女性の健康を支え、家族のスタートを支援できる看護の仕事に、難しさを感じること、悩むこともありますが、大きなやりがいと魅力を日々感じています。今後も、看護師や助産師を目指す学生、母性看護CNSを目指す大学院生と一緒に、より良い看護実践をしたいと思っています。