広島大学大学院保健学研究科博士課程後期修了(看護学博士)。東京医科歯科大学医学部附属病院、東京都済生会中央病院、高齢者専門病院に勤務後、九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学分野、広島大学大学院医系科学研究科保健学分野を経て2020年4月から現職
私は、大学の学部教育では主に老年看護領域の科目を担当しています。大学での看護教育と共に主な研究として、認知症高齢者を在宅で介護する家族の方を対象とした研究を続けています。今回は、私が取り組んでいる研究活動について紹介をさせて頂きます。
日本は高齢社会が年々進行しており、高齢化率も増加傾向であり、それに伴い認知症高齢者の方の数も増加しています。そのような社会背景の中で、認知症高齢者の方を在宅介護している家族の方の支援の重要性が指摘されています。様々な支援が検討されていますが、その中でも、家族介護者の方の主観的な認識である、介護負担感や肯定的認識について研究を行ってきました。研究を進める上では、現場の方のご協力や視点が不可欠だと考えており、様々な施設の方と共同で取り組み、得られた成果を現場での支援につなげるという視点を目指して取り組んできました。研究の成果としては、家族介護者自身の介護に対する認識を把握することの重要性が示唆されており、この視点は実際の支援の一助になると考えています。最近では、家族介護者の方の支援に、ウェアラブルデバイスを活用した研究にも取り組んでいます。主観的な認識のみならず、様々な視点で家族介護者の方を捉えて支援していくことが、在宅介護では重要であると考えており、今後も継続して研究を続けていきたいと考えています。
その他の研究活動として、他大学の先生と一緒にLetter
to the editor1,2)の投稿に取り組んでいます。コロナ禍ではいろいろな部分で研究活動が難しい状況もありますが、そのような状況下でも、Letter to the
editorの投稿を通して、出版された研究論文を建設的な思考で読むことは、研究的な視点の貴重な学びにつながると考えています。今後も、取り組んでいる研究を積み重ねていくことで得た知見や成果は現場での支援と共に、看護教育にも還元をしていきたいと思っています。